[1995] Jeffrey

日本語タイトル

ジェフリー!愛はセックスだけじゃない

役名

Steve Howard(スティーヴ)

男前で乙女な彼が素敵…。

Jeffrey (1995) /ジェフリー! 北米版DVD  [Import] [DVD]

公開当時は日本語吹き替え版のVHSがあったようですが今は廃盤です。私は北米版DVDで見ました。英語+英語字幕あり。

ゲイムービーです。アメリカでは有名人もHIV感染で亡くなっていた1990年代の映画です。NBAの選手とかカミングアウトしてる人を当時テレビで見ました。間違った情報も蔓延していて、日本でも『エイズは怖くない』って啓蒙的な番組をテレビでやってた記憶があります。触っても、一緒にお風呂に入ってもうつりません、みたいな。今だと考えられないですが。

この映画は元々オフ・ブロードウェイの演劇だったのを映画化したそうで、途中で登場人物が歌い出したり、時間を止めて画面に向かって内面を語り出したり観客のシーンが挿入されたりの『第四の壁』って言われる手法も出てきます。ということで、扱うネタは深刻ですが、そんな重くはないラブコメディです。ただテーマがテーマだけに、恋愛=SEXって直結してて、その辺はあけすけです。「SEX」って連呼してます。

さてHIV感染で亡くなるゲイ仲間も出てきた時代。主人公Jeffreyはびびって禁欲を誓います。代わりに健全な汗を流そうとジムへ行くのですが、そのジムで理想の相手の彼Steveに出会ってしまうと。

Steve役の今回のMichael T. Weissは短髪ヒゲなし爽やか系です。そして(DVD化されてない昔の作品ではソープオペラも出てますが)いつもアクションが多いので、私にとって彼の純粋なラブコメディはこれが初めてで唯一です。それが男性相手っていきなり「え?」って感じですが、、、まあ愛があれば相手の性別とかどうでもいいよね?内容的に筋肉アピールで露出シーンも多いですが、とにかくカッコいい。こんなんJeffreyじゃなくても惚れるっての。

JeffreyとSteveは互いに一目惚れしてますが、でも最初はSteveの方が積極的です。いきなり迫ってキスしてます。がっつり行ってます。客席にいる観客がそれを見て茶化してます。そして逃げ出すJeffrey。

– What would happen if I kissed you, right now?
– What?
– You want to?

Jeffreyは仕事で(売れない役者と)パーティーウェイターやってるのですが、会場でバーテンダーやってるSteveと再会します。オーダーそっちのけで二人の世界になってます。パーティーの催し物が途中でSteveの空想に変わっていて、男だらけのエロエロな演目になってたり、コメディのまま進みます。迫られたところで、Jeffreyは理性を取り戻して拒否してます。

その後、Jeffreyのゲイ友達のカップルSterlingとDariusが二人の仲を取り持ちます。Steveが花束持って追いかけてくるところを拒否し続けるJeffreyですが、ギャラリーにも迫られてデートにOKしてしまい。その後に彼からHIVポジティブだって打ち明けられて、動揺を誤魔化してます。

その場の勢いに流されてたくせに、後でパーティー(仕事)が長引いたからデートの予定を延期したいって留守電入れてます。また電話するって言ってるけど、遠回しな断りだろうってバレバレで、それ聞いてるSteveが溜息ついてダンスで気を紛らわせてるシーンは、白いTシャツにレザージャケットでカッコよすぎて泣けてきます。

その後にカフェで食事してるJeffreyに会ってしまって、延期の言い訳が嘘なの分かって怒って去ってくSteveを追いかけるJeffrey。ごめんて謝り続ける彼に、自分がHIV陽性だからだろうって分かってる。キスしそうな雰囲気になって、でもやっぱできないJeffreyに傷ついて去るSteve、それをJeffreyがまた追っての押し問答です。

最初はSteveからノリノリでキスしてたくせに徐々に力関係が変わって来てます。微妙に恋する乙女チックになってて可愛いです。見た目はごついけど。

Why won’t you kiss me?

彼にこんなこと言わせるなんてー!って主人公のJeffreyに抗議したい。それでもできないんです。傷ついて去って行くSteveをJeffreyは今度は見送ってます。

Jeffreyが恋愛すら避け続けてるのは、勿論自分が感染したくないってのもありますが、病に倒れていく相手を受け止め切れないってのもあるようです。未来を想像しすぎて怖くて、全ての可能性を排除してしまっている。

その後二人はゲイパレードで再開しますが、Jeffreyはウィスコンシンへ行くと伝えます。人生リセットしてやり直すつもりです。

そんな矢先に友達のゲイカップルの片方DariusがAIDSで亡くなってしまい、残ったSterlingにJeffreyは態度を責められたりします。幽霊になったDariusや祖父母たちも出てきて、生きてるうちに人生を楽しむべきと伝えます。彼の説得で恐れることはないとここで悟り、受け入れる覚悟を決めるわけです。

そして最後、緊急の用があるってSteveを呼び出すJeffrey。タキシード来て席を用意してます。何ごとかと思ったら、「SEXしたい」って。わざわざそんな格好して何言ってんのって呆れるSteve。自分はHIVだっての変わってないけど理解してんの?って問い詰めてます。一晩寝ていい思い出作ってウィスコンシンへ行く気だろうとか、疑心暗鬼になってます。

そこで、ゲイとしてこの街で生きてくと決めたと打ち明けるJeffrey。互いの葛藤を経て、今度はJeffreyからキスして――という話。と、Michael T. Weissの出てる箇所はほぼ書いちゃってますが、これ、とにかく若い頃の男前な彼を見るための映画ですから。ストーリー知ってても楽しめます。とにかくかっこよすぎです。

– First you have to promise me something.
– What?
– Promise me that you will not get sick.
– Done.
– And you will not die.
– Never.
– Liar.

マザーテレサのニセモノみたいなやさぐれたシスターが要所に出てきてJeffreyをサポートしてたり、神の啓示的な前ふりがあって最後に赤い風船飛ばしてますが、これは病に戦っている同性愛者たちに対して救いを与えるような意味もあって入れてるんだと思います。

最後に夢を壊す蛇足をしてしまうと、今回Steveを熱演して世の女性だけでなく男性まで魅了してしまったMichael T. Weissは、この映画のおかげで本人にもそんな噂が出たようです…。ですが後の『The Pretender(ザ・プリテンダー 仮面の逃亡者)』で人気出た頃にカナダの女優さんとスクープされてました。

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