[2003-2004] Crossing Jordan

日本語タイトル

女検死医ジョーダン

出演回

S02E10「Ockham’s Razor オッカムの剃刀」
S02E21「Pandora’s Trunk: Part 1 パンドラの箱・前編」
S02E22「Pandora’s Trunk: Part 2 パンドラの箱・後編」
S03E13「Oh, Brother Where Art Thou? 宿命の兄弟」

役名

James Horton(ジェームズ・ホートン)

Well hello, sis! だんだんシスコンエスカレートする兄…。

Crossing Jordan: Complete Collection Seasons 1-6 [DVD]

女性検死官のドラマです。日本ではFOX系列の衛星放送で何度か放映されていたそうですが、日本語DVD化はされてなくて私は輸入版を買いました。シーズン2、3をバラ買いしようと思ったらシーズン3がDVD化されてなくて『Crossing Jordan: Complete Collection Seasons 1-6』ってセットを買いました。なのでシリーズ全部持ってます。ディスク27枚もあるよ…。

リージョンフリーなのでリージョン2の日本のDVDプレイヤーでも再生できますが、中身は英語+字幕なしです(※正しくは『English SDH subtitles on season one』でシーズン1だけ英語字幕あり。シーズン2、3にもほしかった…)。そしてこれパケやディスクにタイトルとかエピソード番号とか書いてないからどれが何話か探しづらい。
 

ちなみにシーズン3は全13話しかありませんが、これは主人公Jordan役のJill Hennessyがリアルで妊娠していたからだそう。

Michael T. Weissはこの中のシーズン2と3のエピソード4話にゲストで出てきます。が、この手のアメリカドラマシリーズは大体が1話完結で犯人逮捕の物語があり、バックグラウンドで登場人物の家族や過去のサブエピソードが展開されていく構成になってます。なので4話分に出てくるということは、彼の役もサブエピソードに関わる方と分かります。更にシーズンの最後に出番が終わるということは、大体そこで死ぬ(出て来なくなる理由がある)と。キャスティング見てるだけで中身知らなくても推測がつきます。

なんて推理からスタートしますが、例のごとく彼の出演シーンだけ超絶ネタバレです。メインキャラも端折っちゃってごめんなさい。

※鬱展開注意。

S02E10 Ockham’s Razor

Jordanは過去のフィルムを復元して、23年前に殺された母Emilyが見知らぬ赤ちゃんを抱いていたことを知ります。この子は誰かと探すうちに、6歳年上の兄Jamesの存在を知ります。赤ん坊のうちに養子に出された彼が、母の死の前日に育ての親の元を家出していることから、事件に関わっている可能性にも気づきます。同僚の協力で兄の指紋と母親の死の証拠を照合すると一致してしまいます。

父Maxがさらわれて、昔の家があった廃墟へ来いと電話があり、そこで彼女はJamesと対面します。これがMichael T. Weiss。今回は短髪でヒゲ少なめ、セーター姿の普段着でカッコいいのですが暗くてよく顔見えません。いきなり「明かり消せ」バーン(発砲)みたいな短気キレキャラです。絶叫系です。いつもより話し方とかガラ悪いです。笑。育ての親が「暴力的で精神病んでる」って持て余していた通りイっちゃってる役です。

彼はMaxを責めたり、どうして自分を捨てた(養子に出した)のかJordanの前で言えって問い詰めます。母の死の件は、疑うのはいいけど彼女は自分の母でもあった(から殺してない)と遠回しに否定してます。Jordanにも、人生奪われたとか、自分が得られなかったもの全てを手にしてるとか、どうして両親が捨てたのはそっちじゃなかったのか、肝心の問いを避けてるとか指摘してます。

Maxは、お前の母は病気で育てられなかったからで、彼女はいい母親にはなれなかったとか、自分は正しいことをしたとか、お前を守るためだったとか、どれだけ彼女が病んでたかお前は知らないんだとか、果ては彼女がお前をバスタブに沈めてたのを自分が引き離したとか言ってます。ひぇー…。更に、後で引き取りに来るって言ったのに来なかったって責められて、何度も公園や家の前まで行ったけど取り戻すには遅かったって弁解してます。でも肝心のことを言わないので、Jamesはあの夜、母に会って全部聞いたって自分で答え出してます。彼が自分を捨てたのは、自分の父親じゃなかったからって。

If you’re too much of a coward to tell her, I’ll tell her myself――
I’ll tell you why he gave me away.
Because he isn’t my father.

どうして捨てたのかってJamesは何度も問い詰めてましたが、Maxからしたら頭のお病気の妻Emilyが赤ちゃんの彼を殺そうとしたからよそに預けたってのが真相で、さすがにそれは本人には言いづらかったのか最初は抽象的な話で誤魔化してました。けどJamesの方はMaxが自分の父親じゃないって知っていて、そっちが理由と思っていた。そしてそのことをMaxに言わせようとしていた(けど言わないので自分で言った)、という二段オチでした。

Maxは彼を養子に出したことは間違いだったと言ってたり、後々も一応は庇ってるぽい言動もしてますが、誘拐で息子を殺された被害者夫婦に預けてそのまま戻らずって正直ひどいです。出生証明書や記録がないとかも言ってたし…。死んだ息子と同じ名前つけられて、身代わり扱いだったってJamesは壁叩いて絶叫してたけど、それじゃ彼まで病むのも当然だって。更にMaxはJordanを守るためにEmilyの死の謎と共に彼の存在を隠そうとしてたり、James側からしたら不誠実な対応してます。

You’re pathetic, the two of you. Searching for an answer that isn’t there…

 
さてここからは余談です。
今回のJamesは『小さな頃に実の親から引き離されて育ての親の元で育ち、後にそこから逃亡し、真実を知るために本当の家族を探す』役であると分かるのですが、これってそのままMichael T. Weissの主演ヒット作で人気ドラマだった『The Pretender(ザ・プリテンダー 仮面の逃亡者)』のテーマでもあるわけで、多分それを意識しての設定なんだと思います。同じNBC系列だし。日本で言うと織田裕二が刑事役やってたらアレを連想するよね、的な。まあその程度のものですが。

『The Pretender』のJarodも「人生奪われた」って育ての親を責めたり、答えや真実をいつも探してました。また後に出てくるエピソードで、Jamesが逃亡中に『James ×××』って苗字だけ違う偽造IDカードをいくつも持ってたとこも『The Pretender』を彷彿とさせます。Jarodはいつも名前はそのまま姓だけ変えて逃亡してるので、たくさん苗字違いの偽造カード持ってました。とは言っても今回のこの役は悪役?なので、似てるのはこの掴みだけ。性格は全然違ってます。

そして名字Hortonの方は、アメリカで人気の長寿昼ドラマ『Days of Our Lives』に出てた時の役名から取ってるようです。これもNBCです。Michael T. Weissはそのドラマに息子Mike Horton(Dr.Michael Horton)役で出てました。この役も実は父親が違う…って複雑な生まれの設定で、その真相が明かされる辺りは大盛り上がりだったそうな。彼もこのドラマでファン増えたみたい。と言ってもこれ1965年から今でも続いてるドラマらしくて、途中でキャストも変わっていくし長すぎてDVDもないしで私は観られてません。WikiによるとMike Horton役も彼含めて歴代16人いるそうです。そのうち彼はWikiだと1985-1990年、IMDbだと1986-1987年出演になってます。

S02E21-22 Pandora’s Trunk: Part 1-2

Jordanは母Emilyの死の謎に関係する古い車のトランクから警官の遺体を見つけます。彼女は凶器の銃を隠してから通報してます。でもその指紋も照合すると兄のものと一致します(銃自体はMaxのものと分かったり)。凶器が抜けた部分が解析画像からバレバレで、彼女が事件について何か隠しごとをしていることがばれて立場がまずくなったりもしてます。ちなみに最初に探偵を騙ってJordanに車の在り処を教えてきた電話の男が多分Jamesってことなんでしょうが、電話の声は彼じゃないような。

夢の中のシーンですが、セーター姿や警官の格好をしたJamesとJordanが仲良く話すシーンもあり。Jamesのサングラスに白シャツの音声さんやスタッフが映り込んでて気になったり(おい)、ミランダ警告のフレーズを「bas*ard brother」に変えた自虐ネタをJordanに「それ笑えない」って却下されてたり。最初の絶叫系と比較すると徐々に兄妹として距離が近くなって来てます。私の夢にも出てきてほしい。こんなクールなお兄ちゃんが欲しいです!いつも銃持ってたりちょっと言動ヤバイけど…。

実際にもJamesは妹の部屋に忍び込んで(その前のシーンでMaxが彼の部屋に乗り込んでるので逃げてきた)、23年前の母の死や警官殺しについて弁解します。母は殺してないし、男は警官と知らずに襲って来たから正当防衛で撃ってトランクに入れて捨ててメキシコに逃げてたとか。銃をくれたのは母だとか、警官を差し向けたのはJamesが死んで最も得する人物――実の父親だろうとか。Maxに捨てられ、育ての親には死んだ子の身代わりにされ、やっと会えた実母はすぐ殺されて、実父には殺されかけたとか可哀想すぎます。彼にとって自分は生きてたら困る邪魔な存在だって自覚してるし。泣ける。

– Who sent him?
– Who had the most to gain if I was dead? The most to lose if I was alive?
– Your father.
– Whoever he is. Obviously, he couldn’t afford to have a new family member show up. Maybe he’s someone important.

Jordanが話を信じて同情してくれたので、嬉しくなって銃を置きます。上目遣いで「Can I stay here?」とか聞いて、1~2日でいいから、多分ここが一番安全だからとか言って部屋に泊めてもらおうとしてたり甘えてます。このJamesはちょっと舌足らずでかわいい。←えっ。他ではオラついてるのに、このシーンだけキャラ違う。笑。弱ってる?

MaxとWoody刑事の会話でJamesの実父は警部Maldenらしいと分かります。Maxは前回Jamesに言われるまで自分が彼の父親だと信じてたみたい。それが彼の話でいろいろ思い出して真相に気づいた様子。MaldenとEmilyは当時不倫の仲で、Jamesが会いに行った晩、彼女が死ぬ前に最後に電話した相手はMaldenでした。それを盗み聞きしてる娘Jordanは、次のシーンではいきなりMaldenのとこに突撃して、あんたが殺そうとした息子の件って切り出してますが、向こう見ずすぎて案の定、薬盛られてピンチ。MaldenはJordanから居場所聞き出して再度Jamesを口封じしようとしてます…。そして謎の電話を受けたMaxがJordanを助けに向かいます。彼がMaldenを撃った?ってところでシーズン終わり。

S03E13 Oh, Brother Where Art Thou?

Maldenを撃った銃痕は3つ。最初の1発と他2発は時間差があり、後者は死んだ30分後に撃たれたものと判明します。Maxが容疑者として追われてますが、このタイムラグのおかげで最初に撃った犯人を庇って逃げているらしいと分かります。そして真犯人はJordanだろうと疑われてますが、彼女はやったのはJamesだって反論してます。

そのJamesは何してるかっていうと妹のストーカーです。

真後ろ歩いて警察署までつけてきたり、めちゃ怪しい警官に変装した挙句、パトカーでJordanをさらって廃墟に連れてきます。川べりのアパート(日本で言うマンション)の五階の一室です。川岸のすぐ真横って立地的にすごい。寝相悪いと川に落ちるよ。

ちなみにここに来るまでに彼が潜伏してた部屋にはJordanとWoody刑事たちが踏み込んでますが、その部屋の窓からJordanの部屋が見えるんだって。双眼鏡も持ってたよ。妹の暮らし覗いてたとか、ほんとストーカー…。

連れてきた方の廃墟の室内は工事中なのでドラム缶とか瓦礫が散乱してて壁もはがれかけてます。ここに連れてきたのは何が目的かというと「自分が育った場所を見てほしいから。自分のことを知ってほしいから」。前回、妹の部屋へ行ったから(覗きもしてた)お返しだね。けど言われたJordanは引いてます。ひどい。笑。Jamesは出てくるたびにsisって呼びかけてるし、前回泊めてもらってロックオンしたらしく、すっかり懐いて彼女に抱きついてすりすりしてますが、傍から見たらJordanはやばい人に好かれてしまった可哀想な女性です。


This used to be my room. This is where I spent the first 15 years of my life.
I used to stare out of this window when they were fighting.
Fighting about how they lost it all. Fighting about me.
I didn’t understand why they didn’t love me. Couldn’t love me.
And it was really very simple. I wasn’t theirs. I wasn’t blood. I just didn’t know it yet.

「彼らが自分のことで争ってる時はここから窓の外を眺めてた」
Jamesは人生最初の15年を過ごした、かつて自分の部屋だった廃墟の窓辺から川を見下ろしつつ、育ての親に愛されなかった思い出を妹に語ります。彼らはどうして自分を愛さなかったのか。愛せなかったのか。彼らの本当の息子じゃなかったから。それを当時は知らなくて、なんでだろうってずっと思ってた。このシーンも可哀想すぎて泣けてきます。Jordanもそれ聞いて、「あなたが何したかは知らないし、これはいい方法じゃない。でもあなたが苦しんでるのは分かる」とか言って(直訳)慰めようとしてます。


The kind of place you live when you can’t afford to live anywhere else.

そして前後して、この場所は「他の場所に住むだけの(金の)余裕がない時に仕方なく住むような(ひどい)とこ」みたいなことも言ってるんですが、全然そう見えません。日本人的には。(※スラム設定らしいです。)

確かに今は廃墟だし川の真横って立地はひどいですが、室内は普通に広いんですが…。見えてるだけで大窓3つあるし天井高いし窓枠に乗れるくらいだから壁も厚いし。まあレンガ積んでコンクリで固めただけっぽい耐震性ゼロの壁だけど。家族で住むには確かにちょっと手狭かもしれないけど、「my room」て言ってるってことは自分の部屋とその他の部屋もあるわけで、文化が違うとはいえ、日本の感覚的には自分の部屋(子供部屋)があるって時点で貧乏じゃない…とか、考え出したら現実にかえります。←アホです。

もしかしたらアメリカ的には集合住宅は貧乏人の住処なのかもとか、単に場所柄(治安)がよくないのかもとか、親に愛されずに育って嫌な記憶のある場所的な話も加味しての発言かもしれないとか他の理由も考えますが、国土面積の差は大きいよ。

でもまあ追いかけて来た刑事たちが「銃捨てろ」とか戸口で言ったりして、これは要するに『崖に追い詰められた犯人』のシーンになるわけで、開放感ある構造は演出重視な面もあるのかもしれません。


– Drop that weapon.
– They killed her, Jordan. They killed our mother. They destroyed both our lives.
– Drop that weapon, James, and let her go. She’s your sister.
– That’s right. You’re my only family now. My only blood. The only person who understands.

JamesはWoody刑事に「銃を捨てろ」「彼女を離せ」って散々言われてますが、ほぼ無視して、妹を(盾にしつつ)すりすりしながら、いかにも台詞チックな言い回し(誉め言葉)を連発してます。クライマックスシーンだからね。でも前半ちょっと言ってることおかしいです。言われて抱きつかれてるJordanは困ってます。

育ての親には「血がつながってなかったから愛されなかった(と本人が思っている)」からこそ、Jamesは「唯一血のつながっている」妹にこだわるんでしょう。後半の台詞は上の窓辺のシーンの対比です。


– Come with me.
– What?
– Come with me. We can do this together. We don’t belong here.

そして窓枠に飛び乗って、妹に降りろって説得されてます。が、今にも落ちそうなところで「一緒においで」とか言って、「は?」と本気で言われてて、やっぱりちょっとイっちゃってる人の雰囲気を漂わせます。私だったら彼にそんなこと言われたら、後ろが川でも崖の上でも喜んでついて行っちゃうけどって、誰も聞いてないツッコミ入れてみたり。

(兄にとっては)唯一の肉親、理解者って言われて散々すりすりされたり、過去を打ち明けられたこともあり、Jordanも追いつめられたJamesに対して情が湧いて来て、刑事たちに「撃たないで」って言って止めつつ、兄には「理解したい」「救いたい」と必死で手を伸ばすわけですが、ちょっと手に触れて笑いかけて安堵したところで、背後の川へドボンと。

最後の台詞は「I’m sorry I wasn’t a better brother.」でした。そして遺体は見つからなかった、という終わり方でした。死んでない可能性もあると。
 

彼がしたのは正当防衛と妹を助けたこと

さて最後のシーンは『崖に追い詰められた犯人』と書きました。窓辺に立って刑事たちに囲まれて、警察ヘリも来て逃げ場もなくなったところで、Jamesも犯人らしく決め台詞と共に背後の川に落ちて消えてます。ですが日本の二時間サスペンスドラマの犯人との最大の違いがひとつあります。それは――謎解きの有無。

彼はここでは結局、何にも自白してません。ようやく出会えた唯一の家族である妹に一方的に親近感持って暴走して、自分を理解してもらおうとしてただけ。上以外のシーンでも、「妹に会えてよかった。ずっと人生独りだと思ってたけど違ってた」とか、「なんで二人は似てるんだろう」とか、そんなことしか言ってない。ひたすらシスコンこわいっての。殺人事件の容疑者として警察に追われながらJordanさらって何してるんでしょう?頭おかしい。――ってそういう役だからね。。。Maxに対しては捨てたこと根に持ってたみたいだけど、肝心の実の父親Malden(の死)については全く眼中になかったようで一言も語らないまま終わりました。※そもそも彼が実父のことを語ったのは、S02E22で過去に自分を殺そうと仕組んだやつの話を(heって遠回しに)した時だけ。

※ところが日本FOXでの放映時には、最後JamesはMaldenを殺したと自白してたらしいです!!!???どのシーンがどう変えられていたんでしょう???オリジナルではほぼ上の流れで、推定有罪で被疑者死亡(多分)って終わりでした。そしてMaxも告訴されず、と…。犯人曖昧・生死不明・もしかしたらまた出てくるかもねって謎を残すアメドラ方式だと、日本では見た後にスッキリしないってことでしょうかね。

  
一連の事件の犯人については、23年前の母Emilyと警官殺しは指紋の照合という状況証拠ではJamesが犯人です。彼の居場所を聞き出したMaldenが向かった&死んでたのはJordanの部屋だったとか(泊めてもらってたから)、その後にJordanたちがMaxのところへ来た謎の電話を追って彼の潜伏先に辿り着いていたことから見ても、Maldenも多分やってます。そして彼はちょっと情緒不安定で言動ヤバイ感じの役です。なので本当のことを言っているか分からない。でも本人の台詞では一貫して「自分はやってない」って母親殺しに関しては否定してる。一方で警官殺しに関しては「襲われたから正当防衛で撃った」って正直に答えてます。なので母の方は本当にやってないんだろうな、と推測の余地を残すわけです。

実父Maldenは当時はただの刑事だったけれど今は警部で偉くなってます。Emily殺しは彼がやったとMaxは疑ってました。Jamesが過去に警官に襲われた件も、Maldenが麻薬絡みの不正を捜査していた同僚警官を口封じすると共に、不倫でできた邪魔な息子を消そうとして仕組んだようです。その上で、Emilyの捜査でMaxに濡れ衣着せたりJordanを児童保護施設に送ったりしていたみたい。そして現在も、真相を探ろうとしてるJordanに薬飲ませて居場所吐かせて、過去の秘密と共にJamesを殺そうとしてた悪い男として書かれてます。↓殺る気満々のMaldenさんの台詞。

I think the secrets live and die with James. That’s why you’re going to tell me where he is.

なのでJamesが彼を殺したであろう件も、正当防衛かつピンチの妹を助けようとしての行為だった可能性もあります。全然感謝されてないどころか彼女にも普通に殺人犯扱いされてましたが…。

設定と演出、矛盾と妄想…

ドラマの設定上という目で見ると断定されていない謎部分は、犯人とか動機とか生死を曖昧にしておいた方が、次に引っ張りやすい、後々ひっくり返しやすいってだけでしょう。アメリカドラマによくあるクリフハンガーって手法です。そして謎を残してシリーズを終わらせるために、放送順序も前後してます。

この一連のエピソードは、時系列的にはS02E10でJamesが初登場し、S02E21-22でトランクの謎が解け、MaxがMaldenを撃った?――というところで未解決のままシーズン2が終わり。S03E13はその続きなのでシーズン3の初回に来るはずですが、最終話まで温存されてます。そしてここでも謎を残し、次シーズンへ持ち越すと。(結局解決しないままシリーズ自体も終わってますが、それもアメドラにはよくあること…。)

シリーズをずっと見ていた人は、シーズン3の最後になって今更、前シーズン最後の続きを見せられて「???」になったことでしょう。視聴率のためとはいえ無茶してます。

  
Jamesも、最初に『主人公Jordanは幼い頃に母Emilyを殺されてる』って設定があって、前シーズンでも母親の死の謎のエピソードが出てきていたところで、後付けで兄を作って登場させてますから、時系列を追って行くとすごいです。彼は15歳?(育ての父は16歳と言ってた)の時に育ての親の日記で実の両親が別にいると知って家出して、その晩実母に会い、翌日母は何者かに殺され、彼も3日後に警官に殺されそうになり正当防衛で返り討ちにし、車のトランクに遺体を詰めて廃墟に捨てて、メキシコに6年間逃げて、その後は謎で、現在38歳。家族や妹にこだわってた割には、逃げてた人生のが長いです…。15だか16歳の時に実母のとこまで辿り着いてるのに、なんでそこから妹の前に出てくるのに23年かかってんだって話です。←ドラマだからです。

  
設定の矛盾もあります。James初登場のS02E10では、23年前の10歳の時に母を殺されたJordanの6歳年上の兄で、育ての親も16歳の時に逃亡したって言ってたのが、S03E13の最後のシーンではJames本人の台詞で15年、この38年間て言ってて(15歳+23年前=38歳)年齢が微妙にずれてます。まあ誘拐されて死んだ子の代わりにもらったって設定なので多少のずれもあるのか?と。

更にS02E10のJamesを引き取った際の育ての親の回想と現在の家は同じ戸建てで(=ずっと同じ場所に住んでる)、Jordanはその家のJamesの部屋から指紋照合用にトロフィーを持ち出してますが、S03E13ではJamesが人生最初の15年を過ごしたのは川のほとりのアパートになってます。あまりにナチュラルに変わってるので何か途中のエピソードを見逃してたかと思いましたが、これは窓辺でないと追い詰められた犯人のシーンにならないからって演出上の変更ですね。たぶん。それに伴ってS02E10では育ての親は実の息子の身代金に500,000ドル(約五千万円)払ったり、事件後に仕事辞めて戸建てに引っ越してそこでJamesを預かったってことでそこそこ裕福っぽいのに(だからこそ息子が誘拐された?)、S03E13では貧困設定になってます。

というわけで、初登場と最後のシーンではいくつか違うと。行き当たりばったりのアメドラではそんな細かいところをつついちゃいけないのかもしれません。他にもいろいろ矛盾あるし。。。役者のファンとしては、平屋で地味に捕まるよりはカッコいい方が嬉しいのでビジュアル優先でもまあいっか、と。

Jamesはちょっとイっちゃってるキャラってことで、実は最後に妹を連れて行って語ってた廃墟のアパートでの悲しい思い出は”偽りの記憶”で、全部彼の妄想だった!という説も考えてみたり。散々同情してたのに、あのシーンが全部嘘だったらホラーです…。

最初に書いたように、彼は4話しか出てません!笑

なんて、これだけ長々と書いてますが、シリーズ全体から見ると一連のこの話はサブエピソードのひとつに過ぎません。おそらく普通にシリーズを見ていた人からしたら「そんなシーンもあったね」程度かと。。。でも次々出てくるJamesの不幸設定の救いがなさすぎて可哀想すぎて、感情移入して何度も見てしまいます。矛盾があっても強引な設定でも、キャラクターに物語性があると印象に残るね。Michael T. Weissが演じた中でも好きな役のひとつです。

そしてこのドラマ、Jordan役のJill Hennessyのリアクションの演技が細かいです。相手が悲しい台詞を言っているのを聞く時には悲しげだったり、驚いたり喜んだり聞く時の表情がころころ変わる。最後に兄に救いたいって言って、手を差し出された時は嬉しそうな顔をしますが、次の瞬間は落ちて泣きそうに変わる。この顔芸が気になり出すと、とにかく彼女の顔ばかり見てしまいます。

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